【事例で解説】建築現場で、不燃木材に塗装したいんだけど

みなさんこんにちは！営業のKです。

今回ご紹介する事例はこちら

「建築現場で、不燃木材に塗装したいんだけど」です。

このテーマは込み入ったお話になるので、以下の通り順を追って説明いたします。
いつもより少々長いですが、対応を誤ると建築基準法違反に発展する可能性もある重要な話題ですので、最後までお付き合いいただけると幸いです。

不燃木材について

まずは不燃木材とは何？からご説明いたします。

・不燃木材とは
簡単に説明しますと、木材に防火性を持たせることで、火災に強い建材として使用されるものです。
特に住宅や公共施設での安全性を高めるために利用されています。
よくお問い合わせをいただくのは、薬剤注入処理によって防火性を持たせた木材への塗装です。

・建築基準法で定める不燃材料の基準
不燃材料とは、一般的な火災の際に熱が加えられた時、他の材料に比べて発火が遅い建築材料のこと
です。
発火までのスピードが遅く、かつ有害な煙やガスを発生させないことで、火災時に安全に避難
する時間をつくります。

以下の条件を満たした材料が、不燃材料と呼ばれます。

１、燃焼しないものであること
２、防火上有害な変形、溶融、亀裂、その他の損傷を生じないものであること
３、避難上有害な煙またはガスが発生しないものであること

～数値上の基準（材料別）～
燃え始めてから上記３要件が無効になるまでの時間により、不燃材はランク付けされています。
「不燃」材料と言っても、そのすべてが「全く燃えない」わけではない、ということですね。

不燃認定について

上記の通り、不燃木材と呼ばれる建材は、原則として建築基準法の「不燃認定」を取得（あるいは申請）していますが、その取得対象は以下の2つに分かれます。
　A：木材のみで認定取得
　B：木材＋塗装で認定取得

A：木材のみで認定取得
単体で不燃木材として認定されている木材に塗装をした場合は、不燃材料の規定から外れて不燃木材として認められません。これは、不燃木材申請を行った条件と異なる仕様（塗装）になってしまうためです。
「『単体で不燃認定をとった塗料』を塗装すればいいのでは？」というご質問をいただくこともありますが、現状の不燃認定（2024年10月現在）では、塗料は何らかの被塗材とセットでしか認定を取得できません。つまり、『単体で不燃認定をとった塗料』というものは、そもそも存在しないことに注意が必要です。

B：木材＋塗装で認定取得
基本的には工場で塗装されたものが現場に納品されます。（理由は後述します）

よって、不燃認定の観点から、無塗装の不燃木材が現場に施工されている場合（上記Ａの場合）、建築基準法違反になる可能性があるため、塗装することは原則難しい判断となります。
塗装が指定されている場合は、必ず建築主事、または消防等に確認いただき判断を仰いでいただくことを推奨しております。

不燃木材専用塗料について

最後に、B：木材＋塗装で認定取得の場合、どういった塗料が使用されるのか、についてご説明いたします。
不燃木材への塗装には、基本的に「不燃木材専用塗料」が使用されます。
厳密な定義はありませんが、以下の特徴を持つ傾向があります。
・塗装によって不燃木材の防火性を阻害しない
・不燃薬剤が木材表面に析出する現象（白華）を抑制する効果を持つ

では、B：木材＋塗装で認定取得の場合、セットで認定取得している塗料を現場で塗装してよいのか？というご質問もよくいただきます。これについては、必ずしもそうではないことに注意が必要です。
なぜなら、不燃木材の製造元が認定を取得する際には、以下を管理することが条件とされている場合が多いからです。
・塗布量
　適正量から外れると、防火性や白華抑制性能に影響が生じます。
・塗装時の不燃木材の含水率
　不燃木材の含水率が高い状態で塗装すると、のちに白華を引き起こしやすくなります。（塗装前に既に白華している、ということも起こりえます）
・360度全面塗装
　一面でも未塗装だと、その面から木材内部に湿気が侵入して、白華を引き起こしやすくなります。

それらを現場で管理することは不可能に近いため、実質、工場での塗装が前提になっている不燃木材が多い印象です。

弊社でも不燃木材専用塗料として「ニューレスキューコートシステム」をラインナップしております。
施工についてのお問い合わせ、資料請求は、下記の質問・相談フォームからお気軽にお申し付けください。

長くなりましたが、今回のようなお問い合わせでは、上記の知識を踏まえて、何を塗装するのかは不燃木材の製造元、認定機関、ゼネコン、設計、各所へ確認の上、判断いただくようご案内しております。

ご不明点、ご相談ございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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