事例・コラム
Column
入れ間違えるとどうなる?ウレタンシンナーとラッカーシンナー
皆さんこんにちは、大谷塗料㈱塗創課のMです。
普段、塗料にシンナーを入れるとき、「種類が多くてややこしいな」と感じたことはありませんか?「シンナーなら何でもいいか」と安易に入れてしまい、不良が発生した経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、シンナーを間違えて入れたときにどのような不良が発生するのか、実際の事例をご紹介します。
ウレタン塗料とラッカー塗料に、ウレタンシンナーとラッカーシンナーをそれぞれ入れて実験してみました。
液を希釈した際の様子はこちら
混ぜた時の見た目はほとんど変わりません。塗装したものはこちら
わかりにくいので拡大
見た目は混ぜた時点ではほとんど変わりませんでしたが、ラッカー塗料をウレタンシンナーで希釈した塗装品は、艶が少し引けて表面がもこもこしています。
ウレタンシンナーにはラッカー塗料をしっかり溶解させる力が不足しているため、仕上がりに艶の異常や表面の凹凸が生じることがあります。
今回は液体自体には異常は見られませんでしたが、白く濁ったり沈殿物が出る場合もあります。
次はウレタン塗料の希釈液をそれぞれ変えて塗装してみます。
液の見た目は変わらなかったので割愛します。塗装板を見てみると、、、
正直変わりません。実験でシンナーをかけてみます。
ふき取ると
ラッカーシンナーで希釈した方が白くなりました。ひゃー
(少し難しい話をします)ウレタン塗料は、「主剤:ポリオール」「硬化剤:イソシアネート」と呼ばれる化合物が結合して塗膜を形成します。
ラッカーシンナーに含まれるアルコール成分がイソシアネートと反応すると、塗膜の形成を妨げてしまいます。
その結果、塗膜がシンナーに膨潤して白くなりました。
この状態では、塗膜が正常に機能しておらず、塗装不良につながる可能性があります。
例えば、このような下地に塗装を重ねると、艶の異常や縮みなどの不良が発生することがあります。
また、塗膜の物性面でも性能が低下します。
今回の例はウレタンシンナーとラッカーシンナーでしたが、他にも、間違ってリターダーを使って乾燥が著しく遅れた、洗浄用シンナーを使って塗面が真っ白になった、など、さまざまな事例があります。
シンナーは、粘度や乾燥時間の調整だけでなく、塗料の性能を最大限に引き出すために作られています。
塗料・塗装の品質を保つためには、正しいシンナーの選定が非常に重要です。
迷ったときは、以下フォームよりぜひ弊社にご相談ください。
では、また次回お会いしましょう。
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この記事を書いた人:塗創課 M
マニアックな視点に定評のあるライター。業務では調色、見本作成を通した塗装提案を担当。毎日3人の息子の子育てに追われています。