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木製食器に使える塗料ってありますか?

みなさんこんにちは、販売促進グループの増田です。

今回のコラムのテーマはこちら
「木製食器に使える塗料ってありますか?」
立場上、全国の問い合わせ内容をチェックしていますが、その中でも上位3つに入る程、頻繁に聞かれるご質問です。
「食品衛生法」が改正され、猶予措置期間も終わった今、さらに増えていくと予想しております。
法律が絡む話で少々難しいですが、ぜひ最後までお付き合い下さい。
※このコラムは2025年6月24日現在の状況を基に記述しています。

【木製食器に塗料を使うために必要な規格って?】

こう聞かれると、多くの人は「食品衛生法」と答えます。
正確に言えば、「食品衛生法・食品、添加物等の規格基準 昭和34年厚生省告示第370号
個別に規格された以外の合成樹脂製の器具又は容器包装(平成18年厚生労働省告示第201号)
」という規格ですね。

※弊社書類より抜粋

この規格を簡単に説明すると、以下の2つのハードルをクリアしているかどうか?というものになります。
①塗料の配合上、特定の物質を規定量以上含んでいない
②塗装後乾燥した塗膜について、特定の物質が規定量以上溶け出さない

弊社も、「VATON-FX」はじめ多くの塗料で「食品衛生法適合」を謳っています。
実際、この規格に適合していることで、木製食器へ採用いただいた案件は豊富にあります。
・・・しかし、実はこの規格は2020年に改正されています。
現在では、この規格に適合しているからといって、食器へ使用して良いとは言えなくなっています。

【食品衛生法の改正(新制度「ポジティブリスト制度」の施行)】

厚生労働省のWEBサイトを引用させていただきます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05148.html

要約すると、この法改正に伴い以下の状況となっています。
・「食品用器具・容器包装」(塗装による被膜を含む)に対して、「ポジティブリスト制度」という新制度を導入することになりました。
・これにより、塗料が旧食衛法(食品衛生法・食品、添加物等の規格基準 昭和34年厚生省告示第370号)へ適合しているだけでは、食器への塗装は不可となりました。
・経過措置として、「従来、旧食衛法適合塗料を使用されていた方が」「従来と同じ塗料を同じ方法・目的で」使用する限りは、2025年の5月31日までは引き続き使用すること認められていました。
・新制度(ポジティブリスト制度)は、簡単に言えば「食器へ使用して良い塗料は、この制度で定めるリストに含まれる原料『のみ』で構成される必要がある」 という趣旨です。
結果、従来の規格から比べると、著しく狭き門になっています。
・現時点でのリストは消費者庁のWEBサイトで公開されていますが、今後も適宜更新されていくと思われます。

※弊社書類より抜粋

【現時点(2025年6月24日)でポジティブリストに適合している弊社塗料と木製食器への塗装方法の例】

VATON-FX #501透明(有色品番は不適合です)」(油性自然系浸透型着色剤)
セーフティーワルツ ネオデラック2020FF 各艶」(1液湿気硬化型ウレタン)
「セーフティーワルツ ウレボンフラット580MX PL」(2液ウレタン)

※「セーフティーワルツ ウレボンフラット580MX PL」は受注生産品ですので、一括発注ロットおよび納期に制約がございます。詳しくはお問い合わせください。
※弊社の塗料の種類が多く、全ての製品で確認は行っておりませんので、もし上記以外で適合を確認したい塗料がございましたらこちらよりお気軽にお問い合わせください。

今回は「セーフティーワルツ ネオデラック2020FF 各艶」の使用例を紹介いたします。
こちらのコラムでもご紹介している、カウンター・テーブルに最適な1液ウレタン塗料です。

この塗料の標準工程は、カタログに記載の通り、2~3回刷毛で塗付ける、というものです。
艶は「艶有」「半艶消し」「全艶消し」から選択いただけますが、いずれにせよ表面に塗膜を形成する仕上がりとなります。

しかし、木製食器といえば、このコラムのイメージ写真のような「オイル調で木質感が残った塗装仕上げ」を思い浮かべる方も多いと思います。
そのような場合は、「セーフティーワルツ ネオデラック2020FF」をシンナーで著しく希釈して、木地にしみこませる工程を提案する場合があります。
塗膜を付ける標準仕様と比べると、耐傷性や耐汚れ性は低下しますが、木質感は残しやすくなります。
実際、木製食器へこの塗料を採用されている木工房様でも、そのような使い方をされている方は珍しくありません。

木地にしみこませる塗装工程の一例は以下の通りです。
工程① 重量比で、「2020FF」100に対して「セーフティワルツ ポリウレタンシンナー」を100~200配合する
工程② ①で作った塗料を容器に溜め、そこへ木製食器を漬け込む(必要に応じて数分~30分程度)
工程③ ②から引き揚げた食器をウエス等で拭き、表面の塗料を除去する
工程④ 風通しが良い屋内で1日乾燥させる(必要に応じて②~④を数回繰り返す)

※耐傷性・耐汚れ性、仕上がり感等については、ユーザー様ご自身にてご確認・ご判断をお願いいたします。
※注意として、一度容器から出した塗料は再度容器に戻さないでください。また、一度開封された塗料は、蓋を閉めても徐々に硬化反応が進みます。開封した後は、早めに使い切るようにしてください。

「食衛法改正(ポジティブリスト制度)について分からないところがある」
「適合塗料の見積もりが欲しい」など
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この記事を書いた人:販売促進グループ 増田
画力と丁寧な記述に定評のあるライター。業務ではWEB販促を担当。最近は人生7度目のダイエットに挑戦中。