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【サイト・ソウによる塗装トラブル挑戦状】~第1話「艶ムラ、襲来」~

大谷塗料コラムファンのみなさん、こんにちは。
みなさんにもっとわくわくして頂くべく、今回はいつもとは趣向を変えてお届けします!
題して「サイト・ソウによる塗装トラブル挑戦状」です。
塗装トラブル(塗膜欠陥)に関するご相談、ご要望は非常に多く、みなさんの関心も非常に高い事と思います。ただ、難しい、覚えられないというお声も同じくらい頂戴しております。
そこで「楽しく記憶に残る塗装トラブルの解説」に挑戦いたしますので、最後までお付き合い頂けますと幸いです。それでは、どうぞ!
第1話 艶ムラ、襲来
木工ペインターの諸君、ごきげんよう。私がサイト・ソウだ。
大谷塗料のコラムをジャックさせて頂いた。諸君の「塗装トラブル」に対する実力がいかほどなのか、試させて頂こう!

【第一問】
製品検査で艶が規格値より高く、不合格となった。 正しい原因と対策を述べているのは誰か? |

きっと上塗りの塗布量が多すぎたんだよ。
塗布量がブレないよう、定期的に塗布量の確認を行おう。
中塗りの乾燥時間が短かったんじゃない?
扇風機をあてて、乾燥を促進させよう。
上塗りの希釈率が多かったのでは?
希釈率を仕様通りに戻せばいいと思います。
・・・・・・
まずは小手調べだったが、この程度は余裕だろう?
回答と解説はスクロールするのだ!
!ネタばれ注意!
答えの発表の前に、まずは「ツヤ」がどういう仕組みで変化しているかを解説しよう。

ツヤは光と関係が深い。すりガラスがなぜ透明でないかご存じだろうか?
あれはガラス表明をサンドブラスト加工し、微細なキズをつけることで不透明にしてある。つまり表面に細かな凹凸を作ることで、ツヤを消せるという訳だ。
この時すりガラス表面で反射する光は「乱反射」され、これが人間の目には曇っているような白ボケた見た目に映るのだ。覚えておくとよい。

では塗料の事を考えよう。艶消し塗料には艶消し剤という小さい粒子が配合されている。
これが塗膜表面に並ぶと・・・先ほどのすりガラスのキズのように、光を乱反射させる要素となる。

ツヤが想定より出てしまうのはどういう時だろうか? 2つ可能性がある。
① 艶消し剤が塗膜表面に出ていなかった
② そもそも艶消し剤自体が少なかった
こうなるシーンを想像してみて欲しい。

では回答だ!
【正解】Aさん
きっと上塗りの塗布量が多すぎたんだよ。
塗布量がブレないよう、定期的に塗布量の確認を行おう。
正解はAさんだ!生産継続性という面からみた対策も理想的といえよう。
これは、膜厚が多いと表面に出る艶消し剤が減ってしまうためだ。経験的に正解できた者も多いだろう。
では残りはなぜ違うのか、個別にみていこう。
中塗りの乾燥時間が短かったんじゃない?
扇風機をあてて、乾燥を促進させよう。
まずBさん。
中塗りの乾燥時間に注目できるのは大変すばらしい。中塗りの乾燥時間が短いと、上塗りの乾燥時間が長くなる。乾燥時間が長くなると、艶消し剤が上手く表面に並ばず、ツヤが高くなる傾向がある。
しかし、対策がよくない。無理やり乾燥させると別の塗装トラブルに繋がる。正しくは、乾燥時間を十分に取る、だ。とはいえ現場ではそうも言ってられない瞬間があるだろう。相応のリスクを取ったうえで、塗料を使いこなすウデが試されるな。
上塗りの希釈率が多かったのでは?
希釈率を仕様通りに戻せばいいと思います。
そしてCさんの意見はと言うと・・・。
希釈率が多いと硬化時の膜厚が少なくなる。すると、艶消し剤がぎっちり詰まってしまい、結果的に表面に出る艶消し剤が増えてしまうのだ。すると、ツヤはより低くなる。つまり「希釈率が多かった」のではなく「希釈率が少なかった」場合に、ツヤが出る。
・・・今回はこれまでとしよう。諸君らがどこまでついてこられるか、楽しみにしている。ではさらばだ!
―――――――サイトのいた場所にカードが落ちていた。 『親愛なる読者のみなさまへ 質問や要望があれば、以下のフォームから連絡してくれ。 私がまた現れるかどうかは、諸君らの反響にかかっている。 もし次があれば、こんなトラブルを扱ってほしい、などの希望も大歓迎だ。 では、また会える日が来ると信じて・・・ サイト・ソウ』 |
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この記事を書いた人:黒幕 Y・リー
要約力に定評のあるライター。業務では顧客への塗料の提案を担当。最近ネット回線の乗り換えを検討。オペレーターの癖が強すぎて電話で1時間話し込み体力0になる。