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塗料と火災 〜安全対策〜

みなさんこんにちは。塗創課のMです。

普段私たちが取り扱っている塗料には、火災のリスクが潜んでいることをご存知でしょうか?

今回は、塗料の火災リスクとその対策について解説します。

引火のリスクと対策

塗料には、油性塗料やラッカー系塗料等、有機溶剤が含まれているものがあります。

有機溶剤が使用されている塗料は、消防法上「危険物」と区分されることが多く、その場合、消防法に定められた取り扱いを遵守する必要があります。

危険性の具体例としては、有機溶剤は引火点が低いため、火災の原因となる危険性があります。

引火に対する日頃から出来る対策は、次の通りです。

火気厳禁

スプレー塗装や塗布作業中に火花や高温の熱源があると、引火の危険があります。

作業場では、火器を持ち込まないようにしましょう。

また、グラインダーなどの火花が出る機械も注意が必要です。

静電気対策

塗装作業中に静電気が発生し、それが着火源となることがあります。

静電気対策の靴・綿100%の作業服等を着用したり、帯電防止処理されたマットを設置したり、床に水を散布して湿度を上げるなど、静電気の発生・蓄積を抑制する。対策を行いましょう

また、体だけではなく塗装ブースや塗装機械にも静電気はたまりますので、アースを取り対策を行ってください。

換気の徹底

揮発した溶剤が密閉空間に充満すると、引火のリスクが高まります。

作業中は局所排気装置等で換気しましょう。

また、換気状態を定期的にチェックすることも大切です。

塗料の適切な保管方法

塗料の保管方法によって火災リスクが大きく変わります。

塗料缶は直射日光を避け冷暗所に保管する、蓋がしっかり閉まっているか&破損がないか確認する、可燃物と一緒に保管しない、等適切に保管しましょう。

自然発火のリスクと対策

油類を使用している酸化反応タイプの塗料は、自然発火する恐れがあります

このタイプの塗料は、硬化時に酸素と反応し熱を持ち、熱がこもることで発火に至ります。

弊社では 「VATON-FX」「VATON-FXウッドプロ」「ネオデラック1000A」 などが該当します。

塗料をふき取ったウエスを袋に入れたり山積みにしたものから出火、研磨した粉塵を掃除機などで吸ったタンクから出火した事例があります。取り扱う際は以下の点に注意しましょう。

・塗料を拭き取ったウエスを袋に入れて密閉しない。
ウエスや研磨粉は廃棄まで水につけるか、焼却処分を行う。

東京消防庁の YouTube に自然発火の実験映像が掲載されており、ウエスをまとめるとどのように発火するのかが確認できます。

出典:【YOUTUBE「東京消防庁公式チャンネル」】アマニ油等を含んだタオルから起こる自然発火の危険性 2025年8月8日

適切な消火対策

液体塗料は危険物の分類で第4類引火性液体に該当し、水より比重が軽く、非水溶性のものもあります。

そのため、水での消火は延焼の原因になることがあります

消火器を代表とした適切な消火設備を作業場に用意し、初期消火に備えましょう。

まとめ

塗料は、適切な取り扱いをしなければ大きな火災事故につながる可能性があります。

しかし、適切な管理を行うことで、火災リスクは大幅に低減できます。

塗料ごとの安全性については、SDSをご確認の上、取り扱いください。

日常的な防火対策を徹底し、安全に塗料を取り扱いましょう。

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この記事を書いた人:塗創課 M
マニアックな視点に定評のあるライター。業務では調色、見本作成を通した塗装提案を担当。毎日3人の息子の子育てに追われています。