事例・コラム
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公共建築の設計図書において、内装仕上げ表の備考欄に必ずと言っていいほど記載される「F☆☆☆☆(エフフォースター)」という記号。
これは、シックハウス症候群対策として建築基準法で定められた、建材のホルムアルデヒド放散等級を示す等級です。
「とりあえずF☆☆☆☆を選べば良い」という認識が一般的ですが、実は屋外用の木材保護塗料(WP)などを内装デザインに取り入れたい場合、この認定の有無が壁となることがあります。
本コラムでは、F☆☆☆☆の法的定義と、認定を持たない塗料を公共建築の内装で採用するための「代替証明手段」について解説します。
目次
1. F☆☆☆☆とは何か? 何が制限されるのか
F☆☆☆☆とは、日本工業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)などで定められた、ホルムアルデヒド放散量の等級の中で「最上位(最も放散量が少ない)」を示すランクです。
シックハウス症候群とホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、接着剤や塗料に含まれる揮発性有機化合物(VOC)の一種です。高濃度のホルムアルデヒドが充満した室内で過ごすと、目や喉の痛み、めまいなどを引き起こす「シックハウス症候群」の原因となります。
これを防ぐため、2003年の建築基準法改正により、内装仕上げに使用する建材(塗料含む)の使用面積制限が設けられました。
星の数と使用面積の制限
等級ごとの制限は以下の通りです。
※各発散量の値は、JISA1901 小型チャンバー法による基準値です。
【F☆☆☆☆(発散量:0.005mg/㎡h以下)】
規制対象外(使用面積の制限なし)。内装のどこにでも、どれだけでも使用可能です。
【F☆☆☆(発散量:0.005〜0.02mg/㎡h)】
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料。使用面積が一定割合に制限されます。
【F☆☆(発散量:0.02〜0.12mg/㎡h)】
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料。使用面積が厳しく制限されます(換気回数等による)。
【マーク表示なし(認定外)】
屋内での使用禁止(告示対象外建材を除く)。
つまり、公共建築の内装設計において「F☆☆☆☆」が求められる最大の理由は、「面積計算の手間を省き、安全に全面塗装するため」という実務的なメリットがあるからです。
2. 公共建築における「屋外用塗料」の使用と壁
ここで問題になるのが、「屋外用の木材保護塗料(WP)を、デザインの連続性を持たせるために内装でも使いたい」というケースです。
屋外用塗料にはF☆☆☆☆がない?
屋外用塗料であるWP適合塗料は、ホルムアルデヒド自主管理登録制度を運用している日本塗料工業会が登録対象外と定めているため、F☆☆☆☆登録が出来ません。
どんなに環境に優しい水性塗料であっても、F☆☆☆☆登録がなければ、法律上は「無等級」扱いとなり、原則として居室の内装には使用できません。
「F☆☆☆☆がないから採用不可」
設計段階や現場でこのように判断され、意図したデザイン(WP仕上げ)を諦めた経験がある方も多いのではないでしょうか。
3. 安全性証明の代替手段:試験成績表の活用
しかし、諦める必要はありません。F☆☆☆☆の「認定」がなくても、「性能」が同等であることを証明できれば、採用が認められる場合があります。
「ホルムアルデヒド放散量測定試験成績書」の提出
建築基準法および関連告示において、JIS等の認定を受けていない材料であっても、国土交通大臣の認定を受けるか、あるいは「JIS A 1901」等の規格に基づいた試験を行い、放散量がF☆☆☆☆の基準値(0.005mg/㎡h以下)と同等であることを証明できるデータがあれば、使用が認められる場合があります(※特定行政庁や確認検査機関の判断によります)。
大谷塗料「水性バトンプラス」の事例
例えば、大谷塗料の水性バトンプラスは、「木材保護塗料(WP)」というカテゴリー上、製品ラベルへのF☆☆☆☆表示はありません。しかし、以下の安全性が担保されています。
- F☆☆☆☆同等の試験データ
第三者機関によるチャンバー法での試験において、ホルムアルデヒド放散量がF☆☆☆☆基準値以下であることを証明する「試験成績書」を用意しています。
- 食品衛生法適合
ホルムアルデヒドだけでなく、乾燥した塗膜は、食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に適合しています。
※乾燥した塗面が「食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」 に 適合。食品用器具及び容器包装(直接食品と接触する箇所)へのご使用は上記規格基準適合のみでは出来ません。 詳しくはこちらのコラム「木製食器に使える塗料ってありますか?」をご参照ください。
まとめ:マークだけでなく「データ」を見る設計を
F☆☆☆☆は重要な指標ですが、マークの有無だけで判断すると、設計の選択肢を狭めてしまうケースもあります。
大谷塗料では、F☆☆☆☆登録対象外製品である「水性バトンプラス」について、ホルムアルデヒド放散量に関する試験データを完備し、公共建築の内装における柔軟な材料選定をサポートしています。
公共建築における信頼の証:VATONプラスと関西万博
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のシンボルであった大屋根リングには、大谷塗料のVATONプラスが採用されました。 過酷な屋外環境下での木材保護性能と、大規模公共プロジェクトに求められる厳しい品質基準をクリアした信頼の実績が、皆様の設計実務をサポートします。
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この記事を書いた人:販売促進グループ 増田
画力と丁寧な記述に定評のあるライター。業務ではWEB販促を担当。最近は約8年ぶりに名刺に載せる似顔絵を描き直した中で、己の加齢にショックを受けた。